「フランス語学習」カテゴリーアーカイブ

フランス語学習に必要な文法を解説しています。また「まいにちフランス語講座」のラジオ番組を利用した学習体験記を記録しています。

ペレアスとメリザンドの考察-まいにちフランス語応用編の学習記録と感想 NHK

まいにちフランス語 応用編 ペレアスとメリザンドを読む NHK語学講座の学習記録

2021年10月の時点でフランス語の独学を初めて6か月が過ぎました。これまでは「まいにちフランス語 入門編(NHKテキスト)」で勉強を続けて来ました。2021年度前期講座が終わったので後期講座からは「まいにちフランス語 応用編」の学習を入門編と平行して行いました。私はフランス語学習を0から始めた初心者です。半年間勉強した程度では挨拶すらまともに言えません。そもそもフランス語を話す機会すらありません。それでも何か少しでもスキルを身に付けたいと思って学習費用がかかりにくいNHKのラジオ番組で語学を勉強することにしました。

入門編の学習を始めた頃は本当に何もわからなくて頭が混乱しました。特に動詞の活用形がまったく理解できず、今でも覚えられません。それでも一通りの文法学習が終わったと思いましたので6か月後に応用編に挑戦してみることにしました。応用編の教材は「ペレアスとメリザンド」というフランスのオペラでした。教養が無い私は「こんな古臭い物に実用的な値打ちがあるのだろうか?」とはじめは疑問に思いました。しかし教養としてオペラを知っておくことは、私にとって「おじぎの仕方や雑談に必要な教養を学ぶようなもの」だと思いました。それに欧州の人は古い物を日本人以上に大事にしているそうなので古典から学べることもあると思いました。

正直なところ、オペラや文学は裕福な人が高尚な自己を演出して他人を見下し優越感に浸りたいために学ぶものと私は思っていました。ほとんどの日本人はオペラを見に行ったり本を買うには値段が高すぎるので芸術に触れる機会すらありません。私もオペラやフランス文学に触れる機会が今まで皆無でした。偶然オペラの台本がフランス語の教科書に載っていたので内容を追っていくうちに、ストーリーに浸る楽しみを知りました。やはり、お金持ちは芸術作品に触れて遊ぶことで楽しい人生を送っているんだなぁと羨ましく思います。

講師の川竹英克ひでかつ先生のお声や語り口が丁寧でまるで貴族の紳士でした。このオペラははじめから学習者を選ぶ教材であるという感想を持ちました。教科書の構成はビジネス目的でフランス語を学ぶ人を想定しているというよりは、裕福で生活に余裕のある日本人を歓迎する意図がうかがえます。それ以外の人を読者にすることをはじめから拒絶していると思います(2021年前期講座はフランス人と結婚したい若者以外を拒否する内容でした)。

前期も後期もマーケティング対象外の私にとって、講師の先生方や、内容に親しみが湧きませんでした。でもこの講座を通して仕事で使えるスキルを獲得したくて勉強を続けることにしました。無学な私にはフランスの何が良いのか情報が0の状態なのでこれからフランスについて学んでみたいと思います。

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ペレアスとメリザンド

「ペレアスとメリザンド」はフランスのオペラです。ドビュッシーが作曲して、脚本はモーリス・メーテルリンクというベルギー出身の作家が1892年に書いたそうです。日本語ではメリザンドと書かれていますが、フランス語では「メリゾーンド」と発音しています。ペレアスのフランス語での発音は「ペレアース」です。

1幕 まいにちフランス語 応用編 10月号, 2021年

まいにちフランス語 応用編 2021年10月号

2021年10月号の学習内容と感想です。1話に相当する内容をオペラでは1幕1場・・・2場・・・と数えるようです。フランス語を勉強して7か月目の状態です。ほとんど意味がわからないので、辞書を引いて発音をテキストに書き込みました。発音学習にかなり多くの時間がかかり、精神的に最もきつい時期でした。単語のほぼすべてを、この時はオンライン辞書を使って調べていましたが、不要な広告を目にすることがストレスでした。

あらすじは、フランスの沿岸地帯にある老王アルケルが治めるアルモンド王国のゴロー王子という白髪のオジサンが、領地の泉のほとりで泣いているメリザンドという金髪で美しく若い女性を発見するところから始まります。メリザンドはゴロー王子に対して触れないでと拒絶しています。ゴロー王子は美しいメリザンドに触れたくてたまらない様子が描かれています。

メリザンドは貰った王冠を池に捨てたのだとゴローに言いました。

ゴロー王子はメリザンドが上流階級の女性であることを察知すると、すぐにでも触れたい衝動を紳士(ジェントルマン、大人しくて優しい人)の振りをして我慢して、メリザンドを城に連れて帰ったようです。メリザンドの様子から、彼女は王族の男性に酷いことをされたのだということが暗にわかります。

半年ほどが過ぎ、ゴロー王子は異母弟のペレアスに手紙を書きました。その様子から、ゴロー王子は王宮の外で暮らしていることがわかります。ゴローはアルケル王に対し父親として親しみを感じているのではなく、顔色をうかがうような関係のようです。それもそのはず、ゴローは母を亡くして、後妻と仲睦まじいアルケル王が生きているいるうちは国王になれません。少なくともNHKのテキストではゴロー王子が世継ぎであるとはどこにも書かれていませんので王位が異母弟ペレアスのものになる可能性もあるでしょう。ゴローは王位が欲しい気持ちをずっと我慢しているのでしょうか。ゴローはペレアス王子がアルケル王と親しいことを知っているので、ペレアス王子にアルケル王にメリザンドとの結婚を公式に認めて貰えるように便宜を図ってほしいと頼みました。

メリザンドはアルケル王に受け入れられ、ジュヌヴィエーヌというペレアス王子のお母さんと親しくなりました。

2幕 まいにちフランス語 応用編 11月号, 2021年

まいにちフランス語 応用編 ペレアスとメリザンドを読む 2021年11月号

2021年11月号の学習内容と感想です。文章が多くなってきてひとつずつ単語を調べて意味を追うのがとても大変でした。話の内容もいまひとつつかめていません。この写真に示したように、すべての発音や単語の意味をテキストに書き込んでいます。この作業時間が途方も無くて当時はラジオ講座を楽しむ余裕がありませんでした。

どうやらメリザンドは大きな船に乗せられてアルモンド王国の岸にたどり着いたようです。流れ着いたのか降ろしてもらえたのかわかりませんが、それと同じ船をペレアス王子とジュヌヴィエーヌ王妃と三人で見つめていました。

船と言えばスペインとポルトガルを連想します。その後イギリスなどが大航海に乗り出したので、イギリスの船かもしれません。メリザンドの特徴から察すると彼女はスペインやポルトガルの女性ではないでしょう。ベルギーやオランダ、イギリスあたりかもしれません。

ここではメリザンドがゴロー王子の異母弟ペレアスとその実母のジュヌヴィエーヌ王妃と親しくなっていく様子が描かれています。そして不吉な兆候を暗示するようにゴロー王子の馬が暴れたり、メリザンドが結婚指輪を弄んで池に落とす様子がわざとらしく描かれていました。

普通の人の感覚では結婚指輪を放り投げて落とすという行為はあり得ません。メリザンドは世間一般の価値観を超越した人であることがわかります。

このオペラの原作はもっとボリュームがあるのかどうかわかりませんが、内容がこれだけなのでかなり物足りない回となりました。後でテキストを見直してみると、この号は2幕の8場までを紹介しているようです。ということは他にもストーリーがあったということですよね。

もうちょっと仲良くなる過程や、王国での暮らしがわかればよかったと思います。

2幕-3幕1場 まいにちフランス語 応用編 12月号, 2021年

まいにちフランス語 応用編 ペレアスとメリザンドを読む 2021年12月号

2021年12月号の学習内容と感想です。まいにちフランス語応用編の学習をはじめて3か月目になりました。入門編も続けて聴講しています。相変わらず物覚えが悪いので覚えられなかった単語をすべて調べていました。この予習作業に何時間も、最低でも20時間くらいはかかるので内容を味わっている暇もありません。テキストを買った18日から予習を初めて翌月の開講に間に合わせようとするのですが、時間的が足りないません。

どういうわけか、ゴロー王子と結婚したはずのメリザンドが「ここ」から出て行きたいと行って泣いています。一体どうしたというのでしょうか。「ここ」とは彼女にあてがわれた住まい(塔)のことなのか、それともアルモンド王国なのか、具体的なことはこのテキストでは示されませんでした。なぜかメリザンドは現状が嫌なので鬱状態になっているようです。もともと話の舞台が陰鬱な森の中で光が差さない王国という設定で、これらの環境設定はメリザンドが流れ着いた国の雰囲気、王室、あるいは光が差さない人の心そのものを暗示しているのかもしれません。

ゴロー王子はメリザンドがふさぎ込んでいる原因を、はじめはメリザンドがペレアスを嫌っているせいだと思っています。ゴロー王子はメリザンドの気が晴れるためなら何でも与えようと言いました。しかしメリザンドが泣いているのは男のなぐさみ者となっている身の上で、しかも恋をしているからでした。生き延びるために結婚相手を選ぶ権利が無かったので、好きではない男と結婚したものの、ほかに好きな人ができてしまった。好きじゃない人と結婚するのが当たり前だった時代、好きな人と恋をするのは王族貴族の間では当たり前のことだったというのが何となくわかります。

ゴロー王子は失くした結婚指輪がどこにあるのかメリザンドに尋ねました。メリザンドは海岸の洞窟で落としたと嘘をつきました。何も知らないゴロー王子はメリザンドとペレアスに指輪を拾いに行くように命令しました。

指輪はゴロー王子のお母さんの形見ですから彼にとってはとても大切な物です。メリザンドにとっては重々しく意味づけられた迷惑な物でしかありません。

ペレアスとメリザンドが海岸の洞窟に行くと、飢えた人が三人横たわっていました。危険を感じたペレアスはメリザンドを連れて城に帰りました。

ある日、メリザンドはゴローの夜伽をするために長い髪を梳いていました。そこに欲情を我慢できなくなったペレアスが来ます。

3幕1場-4幕1場 まいにちフランス語 応用編 1月号, 2022年

まいにちフランス語 応用編 ペレアスとメリザンドを読む 2022年1月号

2022年1月号の学習内容と感想です。原作が何場あるのかわかりませんが、今回もわからない単語はすべて辞書で調べて、すべての単語にカタカナを書き込みました。本当はこんな学習の仕方はやりたくありませんが、発音を忘れた時のために書いておくことにしました。英語学習の時はこんな事をしなくても発音を覚えることができたのに、フランス語ではそれが覚えられないのです。

メリザンドの寝支度を見て欲情を我慢できなくなったペレアス王子は「せめて髪だけでも口づけしたい」と言って彼女の長い髪を自身に巻き付けて接吻します。

ここは笑うところではないのかもしれませんが、なんだか滑稽でもあります。当時は結婚前の未婚の男女は手を繋ぐことも破廉恥であったかもしれないので、髪に口づけをするということはそれ以上の行為をしているのと同じ意味があったというのが理解できます。当時の男性にとって女性の持ち物に触れることや、体の一部に触れることは特別な意味があったようですね。

二人が間接的に戯れているところをゴロー王子が見つけます。不倫するなど許せんペレアス!メリザンド!といったところでしょうか。それ以来、ゴロー王子の様子が変わってしまいました。ゴロー王子は息子のイニョルドにメリザンドとペレアスの様子を探らせました。偵察に子どもを使うなど一番やってはいけないことですが、もう彼は自制心が無くなってしまったのでしょう。

ここで、メリザンドが懐妊していることがわかります。一体誰の子なのでしょうかと川竹先生がジョビアン・ピノ先生に質問なさいました。ピノ先生はゴロー王子の子とはおっしゃいませんでした。

第5幕 まいにちフランス語 応用編 2月号, 2022年

まいにちフランス語 2022年2月号

2022年2月号の学習内容と感想です。ついにゴロー王子の怒りが炸裂しました。妻が別の男と仲良くしていて嫉妬しない男がこの世のどこにいましょうか。結婚とは貞節を守り生活を共にする約束ですから。妻が別の男と生活の一部を共にするなど赦せない。寿命が極端に短い人もいた当時、熟年のゴロー王子にとっては彼女が最後の妻になるかもしれないという期待も大きかったのでしょう。自分が王位を継承できるかについても東洋のように確かなものではなかったようですから、これまでひたすら行動を慎んで紳士として振舞ってきたのにこの仕打ちは酷い!

一体この物語は何が言いたいのか!結婚とは何か?恋愛とは?家庭とは?社会の価値観を根本から揺るがす事件が発生してしまいました。

メリザンドもペレアスも何ら悪びれることなく愛し合ってます!神との契約などお構いなしです。このオペラの作者は無宗教なのでしょうか!?

彼、彼女たちの恋物語をアルケル王は無関心なまなざしで作者の解釈を付け加えています。そもそもゴロー王子が遊びまくって政治に参加していなかったせいで社会経験が足りないのは王様のせいではないですか。

ペレアス王子は旅立つ前に最後に菩提樹のもとでメリザンドを待っていました。そこにメリザンドがやって来たのでペレアスは愛を告白すると、メリザンドもペレアスへの愛を告白しました。メリザンドは今いる月明かりの下ではなく菩提樹の陰に移動しようと言いました。しかしここでなぜかメリザンドが「明るいところにいたいの。塔から見られてもいいの。」と言いました。

メリザンドも何かの覚悟を決めたようですが、メリザンドはゴロー王子にペレアスと愛し合っている様子を意図的に見せつけているかのようです。ペレアスとメリザンドはお互いに愛を告白して抱き合います。そして、(テキストの最終号では)メリザンドは木の下に隠れようと言うと、今度は高揚したペレアスが月明かりの下でお互いを見つめていたいと言い出しました。現代の価値観では意味不明な演出ですが、何か意味があるのかもしれません。互いの気持ちの高ぶりを時間差で描いているのかもしれません。それ以上の象徴的な意味があったとしても、作者本人にしかわからないことでしょう。

2月号の応用編のテキストの内容は、2021年からのテキストでは見た事のない単語ばかりで難しいです。フランス語辞典で1個ずつ単語を調べて行っては本の中に日本語訳を書き込んでいました。余裕があれば発音も記録したかったのですが、この号から発音を書くのはやめました。

5幕 まいにちフランス語 応用編 3月号, 2022年

2022年3月号の学習内容と感想です。重要な箇所がたくさんありましたので引用しました。

森の中でペレアスとメリザンドは思いを言葉で伝えて愛を確かめ合いました。メリザンドは「幸せだけど悲しいの」と言いました。日が暮れたので城の門が閉まるとペレアスは「僕たちは救われたんだ」と言いました。二人は剣を携えたゴローが木陰に潜んでいることに気が付きました。ペレアスとメリザンドは最後の口づけをしてお互いにすべての愛情を与え合いました

ペレアス Va-t’en! il a tout vu! Il nous tuera!

「逃げて!彼が来る!彼は私たちを殺す!」

メリザンド Tant mieux! Tant mieux!

「もういいの!もういいの!」

ペレアス Il vient! Ta bouche! … Ta bouche!

「彼が来る!僕に口づけを!僕に口づけを!」

メリザンド Oui! … Oui! … Oui!

「ええ!…ええ!…ええ!」

ペレアス Oh! oh! Toutes les étoiles tombent.

「ああ!ぁぁ!すべての星が降って来る。」

メリザンド Sur moi aussi! … sur moi aussi!

「私の上にも!私の上にも!」

ペレアス Encoree! Encore! Donne!

「もっと!もっと!ください!」

メリザンド Toute!

「すべてを!」

メリザンド Toute! Toute!

「すべてを!すべてを!」

ペレアス Donne! Donne!

「ください!ください!」

ペレアスとメリザンド

この台詞の直後、ペレアスはゴローの凶刃を受けて還らぬ人となりました。メリザンドはペレアスを置いて逃げてしまったことをとても後悔し臆病な自分を責めました。

それ以来、メリザンドは意識が朦朧とした状態で苦しんでいました。無意識のうちに彼女は小さな女の子を産み落としました。医者はメリザンドの傷は小鳥でも死ぬ程の傷ではないと診断しました。

アルケル王とゴロー王子はメリザンドを見舞います。ゴロー王子は「私は理由なく弟を殺してしまった。二人は兄妹愛だったのに勘違いで殺してしまった」と都合よく理由をねつ造して後悔を演じました。ここに、父への嘘が表現されています。ゴローの立場では父の前で正直に告白できないようです。ゴローは自分自身に対しても正直に言葉を並べることができないのです。

メリザンドは目を覚ましました。

アルケルはメリザンドに気分はどうかと尋ねます。

メリザンドはこれほど気分が良いことは今までになかったと答えました。

私には何かわかっているような気がするんです

と。

アルケルが何を言っているのか意味がわからないと尋ねると、メリザンドは自分でもわからず自分が言いたいことを言っていないと答えました。

アルケルは部屋に医師と、ゴローがいることをメリザンドに伝えました。アルケルはゴロー王子は不幸な男だが、今この場でメリザンドを苦しめるつもりは無いと言いました。

ゴロー王子は父と医師や下女たちに人払いを頼みます。

「あなたは私を許してくれるか?」

ゴロー王子はメリザンドに尋ねました。

「ええ、許します。でも、何を許す必要がありますか?」

メリザンドは言いました。

ゴローはメリザンドにこれまでのことを謝罪すると、死にゆく者の前では本当のことを言って、聴かなければならないと彼女に質問しました。

メリザンドはペレアスのことを愛していると答えると、彼の居場所を尋ねます。

ゴロー王子はメリザンドの答えが気に入らず、改めて禁断の愛で愛したのかと尋ねます。

「いいえ、違います。私たちは罪を犯していません。なぜそのようなことをお尋ねになるのですか?」

とメリザンドは言いました。

「メリザンド!お願いだから本当のことを言ってくれ!」

ゴロー王子にメリザンドの真実の言葉が通じませんでした。

メリザンドはゴロー王子にすっかり心がズタズタに傷つけられて息絶えようとしていました。

しばらくしてメリザンドは再び失った生気を少し回復させると、さっきまでの不安が和らいだとアルケル王に言いました。

メリザンドは赤ん坊が生まれたことを知ると、最後の力を振り絞って涙を流しながら赤子を抱こうと両手を拡げました。

ゴロー王子が二人きりで話したいと父に頼みましたがアルケル王は拒否しました。

お前は魂がどんなものか知らぬのだ。

アルケル王はゴロー王子に説教をはじめました。

人の魂とはとても寡黙なものなのだ。魂は一人で立ち去らねばならぬ・・・。

アルケル王はメリザンドが怯えながら苦しんでいることを理解していました。

そしてすぐに、メリザンドがあの世へと旅立ちました。

あれは、あらゆる人間と同様に不思議で小さくかわいそうな存在だった。この子があれに代わって生きていくのだ。・・・次はあのかわいそうな娘の番だ。」

アルケル王が最後を締めくくりました。

ペレアスとメリザンドの感想

テキストの5か月目に差し掛かった時に、最後まであらすじを読んで悲しい気持ちになりました。作り話とはいえ、悲劇で終わったら後味が悪いです。娯楽ですから楽しい気持ちにさせて欲しかったな。でも享楽を飽きるほど楽しんでいるオペラのお客さんにとっては悲劇のほうが刺激的なのかもしれません。作り話でよかったと思う一方で作り話では無いというのもわかります。

このオペラでは互いの恋愛感情による男女の結びつきが一番重要で、女性が生き延びるために好きでもない相手と結婚したり、男性が女性に下心を抱いたからといってその女性を妻とすることで悲劇が生じるということが言いたかったのでしょうか。現代フランスの前触れを予兆させるような脚本です。

あるいは、結婚した後に妻が心変わりして好きな方向に行くと悲惨な目に遭うぞという女性と若者への警告でしょうか。昭和時代の日本ならば、この見方を国語の授業の正解としたことでしょう。その国のステレオタイプが違うだけで女性が悪くなって死んで当然となるのですからお笑いです。メーテルリンクは何のつもりでこの戯曲を書いたのでしょうか。やはり、既婚者との恋愛は禁止ですよ!結婚してから恋してもいいことはありませんよ!と言いたかったのでしょうか?

1950年代あたりまでに行われていた昭和の強制的結婚により現代の人口は衛生環境の改善とともに爆発的に増加しましたが貧困から脱出できない人々が苦しんでいます。フランスは自由恋愛と手厚い社会保障により人口が増加したものの、日本では自由恋愛に対する社会保障が無いので人口が減ってきています。フランスでは結婚していなければ心変わりしたとしても自由です。日本ではコソコソと不倫しているのが現状です。カップルがお互い生涯愛し合っているならともかく、途中で心変わりする人にとっては結婚制度自体が意味を成し得ません。

日本の価値観では一生で一人の配偶者を愛し続けなければいけない!というドラマばかりが放送されています。サザエさんみたいにおじいちゃんおばあちゃんが揃っていてお父さんお母さんボク(長男)と妹という価値観や、ドラえもんみたいにお父さんお母さんとボクという価値観を幼い頃から押し付けているのです。だから大多数はこのような結婚観を共有しています。その描写のどこに愛があるでしょうか?

恋愛感情はいつか消えてしまいます。どんなに愛し合っても素の自分が恋愛時と大きく異なったりホルモンの都合なので消えるようにできています。これが、人間の本性です。ですから、恋愛感情があるうちは互いに仲睦まじく、終わればさようならでいいじゃないですか、というのが自由の本質ですよね。それを法律で縛り付けているのが今の結婚制度です。本当の自由を人々が自覚するようになると、いずれは結婚という制度自体が無くなるかもしれません。

自分たちが生き延びるために愛の無い結婚していた時代は終わったのです。少なくともフランスやその周辺諸国では。愛こそが生きる原動力。

メリザンドの正体

メリザンドは大きな船に乗せられ、アルモンド王国の海岸に降り立ったと言いました。そして池に王冠を投げて泣いていました。最初はゴロー王子に「私に触らないで!」と言ってますから、男性から酷い目に遭ったのでしょうか!?王冠を捨てたり指輪を捨てたり貴金属には興味が無く彼女にとって重要な物は金銭ではないようです。家出したなら生活の足しにすれば、とも思いましたが奴隷の人身売買などで誘拐されて無学で精神的に幼いままなら考えが及ばなくて当然です。一度はゴロー王子の表面上の優しさ(下心)を受け入れ妻となりましたが、ペレアス王子に愛され、自分もまた愛を求めていたので心変わりします。性格面でも意気投合したメリザンドとペレアス王子。まるで完成されたパズルのようにぴったりです。

その頃からメリザンドはふさぎ込んでペレアスと一緒に泣いています。それは結婚という契約があるために恋人と一緒になれない悲しみでしょうか。ゴロー王子は妻が異母弟と会っているところを知ると正気ではいられなくなってメリザンドは虐待され、ペレアス王子は殺されました。愛する人を失ったメリザンドも憔悴仕切って心が死ぬと同時に体も亡くなってしまったのです。

メリザンドの正体が何者かはわかりません。純粋そのものだとピノ先生は言ってます。純粋な性格のままでは汚れたこの世で生きていくことが困難なことをオペラは物語っています。つまり、教育などで洗脳されることなく無知な状態で育った少女のような女性ということです。

庶民の人生が50年~60年だった頃のお話ですからメリザンドの年齢は20歳付近かそれ以下でしょう。そのあたりの年頃はまだ世の中のことも知らず、とても敏感で子どもの記憶もはっきりと持っていて、汚い世間に出る前の若い人は好き嫌いが本能的にはっきりしているので理性には抵抗できません。魂が純真無垢で汚い大人の悪意に深く傷つきやすい年頃です。彼女の純粋さは男の暴力によって殺されたということです。そうした経験はほとんどの人がしているから物語として成立しているわけです。

誰にでも自然な出会いで相手と意気投合して結ばれたいという本能的な欲望があると思います。それを阻むものは周囲の人間です。また、自由意志と、暴力という対比でもあります。

私はメリザンドの正直さが羨ましいと思います。なぜなら心に深手を負うと同時に身体の生命を消すことができるからです。たいていの人は心で念じただけでは亡くなれませんので。消えたいと思った時にパッと消えたり現れたりすることができればどんなに楽でしょうか。

また、私たちは逆にゴローのようになる可能性もあります。というより既に、一時的にゴローになっています。それは支配権がある場合です。所得が配偶者より多かったり、家の格式が上だったり、あるいは本来の惨めな自分を忘れたりして、生きることに余裕が出るため暴君になりやすいのです。対比としてメリザンドには美貌以外に何もありませんから弱者です。題名がメリザンドとペレアスなので、ゴロー王子は脇役で主人公ではありません。ある特性をもった人の立場ならDV男のゴロー王子に共感して主人公と勘違いしそうですね。

メリザンドとペレアスは純愛だけを求めていたということになります。この二人にとって純粋なる愛が唯一の癒しであり唯一の幸福だというのです。ペレアスは野原を見ても美しいとは思えなかった、メリザンドはこの世で最も美しいと言っています。まさに世の中の大半の人には純愛が手に入らないから夢そのものですね!メリザンドが心から欲していたのはほんとうに純粋な愛でした。だから別の男の慰め者となっていた時は気分が悪かったということになります。愛だけを死ぬほど渇望していたならなぜ自分の意思を貫いて最後まで拒絶しなかったのでしょうか?妥協してしまうところは普通の人を象徴しているみたいですね!ゴローの剣から逃げるという場面は本能を表現しているのでしょう。アルケル王が「誰もが臆病で弱いメリザンドと同じだ」と言ったように。

第5幕でメーテルリンクがメリザンドをどのように象徴しているかが明らかとなりました。メリザンドはすべての人の魂そのものを表しているということです。つまり、人は誰でも真実の愛を一番に求めていることを意味します。ゴローもまたメリザンドからの愛を求めていましたが、ゴローの欲求は他者への愛ではなく自己愛で完結していました。

最終回でペレアスとメリザンドが互いにすべての愛を与え合う場面が描かれていました。メーテルリンクはこれが真実の愛至上の幸福であると表しています。

メリザンドの子は誰の子?

最終的にメリザンドは出産して息絶えたそうですが、それは誰の子なのでしょうか?メリザンドはペレアスと結ばれた気配はありません。ゴローとは結ばれたような隠喩がありました。夜伽のための支度をしている場面がありました。あるいは王国に来る前に・・・という可能性もあります。ゴローと会って数日に妻になったのですから。それに、もしペレアスの子を宿していたとしたらあんな風に亡くなるとは思い難いです。

メリザンドの子は女の子でした。

アルケル王は「その子もまたかわいそうな娘だが、今度はこの子が生きる番だ」と言って物語は終わりました。

グレーテルのかまど

メリザンドはまるでお菓子の家に魅惑された女の子です。飴でオジサンに誘拐された少女そのものです。飴じゃなくても、職業や年収をチラつかせた男にホイホイとついて行って結婚した女性たちも重なります。やはり、これって教訓?

ゴロー王子

セクハラオジサン・・・というのがゴロー王子に対する私の第一印象でした。はじめから見え見えでしたね、下心が。息子にストーカーさせるなど、一緒にいたら吐き気を催すくらいのかなりダメ男のようです。現実世界では刑務所行きの人。本来ならアルケル王を支えるのが王子の役割なのに、風来坊を演じています。もしかしたら作品の世界では他にも王子がいたのかもしれません。

現代の常識で考えるとゴロー王子も哀れで、正気を失って可哀そうでしたと一瞬思いました。彼がまともな人なら同情したかもしれません。でもそじゃなくて、これまで傷ついた経験もほとんどないせいか、ストレスを受けた時の反応が尋常ではありません。何度もストレスを乗り越えた人ならここまでキレることはりませんが、王子さまゆえに人間関係でストレスを受けたことがほとんど無かった故のかもしれません。

ゴロー王子は相当鈍い男です。鈍感男。若い女性なら誰でもよかったのでしょう。見た目だけで選んで相手の気持ちも好みもよく確かめずに適当に妻にするからこんな目に遭うのです。出会った時から手が出てましたからね。変態おじさんです。

ゴロー王子の母が亡くなってからは父親との間に立つ人がいないので、コミュニケーションも疎遠になっていたのでしょう。前妻も付き合って早くに亡くなったみたいで対人関係で揉めたこともなかったのでしょう。

嫌な経験が少ないと、慣れも学習もないので成長がありません。今回がきっとゴロー王子にとって初めての大きなストレスだったのかもしれません。

例えば、子供の頃はすごくわがままですよね。あのまま成長が無かったのがゴロー王子なのでしょう。紳士の仮面を被っておりましたがゴローはオジサンになっても中身は幼児そのものです。

オペラの中で若さに嫉妬する場面がありました。

ゴロー王子は自分のことだけを考えていて愛情ある人ではありませんでした。彼がメリザンドの幸福について考えたことなど一度もありません。しかも、メリザンドが亡くなりそうなのに、自分の欲望のためにメリザンドから「ゴロー王子を愛している」という言葉を引き出そうとしていました。その言葉に害されたメリザンドは魂が傷つけられて死んでしまいました。

アルケル王は人を見る目がありながらも、ダメ男のゴローを神の愛で許し続けていました。

ゴロー王子が特殊な精神状態であるのは最後の話で明らかとなりました。ゴローは自分自身に対しても世界で起きた出来事を認められずにいなかったのです。世界で起きた出来事や自分自身の感情をあるがままに言語化できないとトラブルになるのは同然で彼の他人に投げかけた言葉(アウトプット)も嘘になってしまいます。

アルケル王

アルケル王はまるで語り部のように息子たちとメリザンドのことを見守っていて、彼女の性格も見抜いていましたが、君主としてはどうなのでしょう。大病を患っている間にゴローに摂政を任せたりせず王座にしがみついていたのは余程ゴロー王子がダメな王子だったように思えます。アルケル王はペレアスに「死相(死亡フラグ)」を見てますから跡継ぎにするつもりはなく外遊させてゴローの魔剣から守ろうとしているところがありました。一応、アルケル王に人を見る目はあるようです。国民も飢えてるみたいで陰鬱な雰囲気が漂ってましたね。もうすぐ滅ぶような兆候すらありました。飢饉は国王のせいじゃないにしても、滅亡を象徴しているのですから王国の運営に難があるようです。

アルケル王は子どもたちの気持ちを理解していながら干渉することはありませんでした。

ペレアス王子

兄弟仲が疎遠だったのは明らかです。彼の性格は大人しそうで戦闘向きとは言えません。分別がないので年は10代後半くらいでしょうか。それ以上となると、さすがにこの人はオツムが大丈夫!?と疑いたくなります。初めての恋を自分でもどうにもできない年頃といったらそのくらいでしょうか。初恋で、しかも身近に自分を好きになってくれる女性がいたらさすがに我慢できませんよね。

これは少年への教訓でしょうか。他の人の恋人を取ると怖いよーと。そんな単純なことなんですかね。恋に夢中なお年頃といった感じです。でもこのオペラは道徳の話ではありません。

ペレアスは貴族として必要な詩のスキルを持っていました。貴族たるもの即興詩ができなければ無能と見なされます。というのも男性が女性と付き合う時は触れてはいけないという文化が西欧にはあったらしく、モテるには口が上手であることは最低限必要なスキルのようですね。政治をするためにもその口を使いますから、口がうまくないとモテないのは当然といえましょう。

ペレアスがメリザンドを一番好きになった、という感覚はその人本人しかわかりませんが、おそらくメリザンドがその相手だったのでしょう。なぜそんなにも萌えるのか。それは初恋だからでしょうか。成長期は感情が濃いので恋愛感情も強く感じられます。

中盤からペレアスは旅立つという言葉を何度も口にします。終盤になるとペレアスは旅立つ前にメリザンドに告白すると、両想いであることがわかって幸福の絶頂になりました。

でもペレアス王子は虐待されているメリザンドを積極的に救おうとする様子は見られませんでした。というのもメリザンドは虐待のことを隠していたからです。ペレアスはまだ若く無知なので人助けという介入ができる能力が無かったの見ることができます。オペラの中でペレアスがメリザンドの心の傷付きについて理解している描写は見られませんでした。また、ペレアスがメリザンドを連れて出奔しようという考えも無かったようです。つまり、ペレアスは単に愛を表現するばかりで彼女をDV男から救出しようという考えが無かったと思います。最後もこれといった手立てを準備することもなく、丸腰で異母兄にやられてしまいました。

ペレアスはメーテルリンクが飼っていたブルドッグ犬の名前です。ペレアス王子が犬と繋がっているとすると、最初から既に彼の精神世界が構築済みで早熟の男性であるとも考えられます。ペレアス王子が若くても、学友の存在を匂わせたり詩の才能を示していたので無知の象徴ではないと思いますが、政治についてはほとんど無知であると思います。要するに、ペレアスはワンちゃんと同様に「かわいいバカ」を象徴しているのでしょう。

となると、このオペラで表現したかった純愛とは何かという疑問が生じます。ペレアスがメリザンドを愛し、メリザンドもペレアスを愛して幸福な気持ちになっていたのは確かでしたが、なぜ死の危険を冒してまで魂の契りを交わしたのでしょうか。愛の表現上必要な設定といえばそれで終わりです。二人が逃避行したりゴロー王子を倒せばハッピーエンドで面白くないからでしょう。ジェームズ・キャメロンが制作した映画のタイタニックが語り継がれるのも悲劇だったからです。その悲劇のもとになった話がロミオとジュリエットなのかもしれません。メーテルリンクは自分の作品を印象付けて純愛を表現するためにペレアスとメリザンドを死なせたのでしょう。

このオペラでは道徳や倫理に抗いがたい本能が愛と憎しみであると言いたいのは明らかです。かわいそうなメリザンドが唯一求めていたのは愛する人から愛され自らも愛する者に愛をすべて与えることでした。ゴロー王子もメリザンドからの愛を求めていました。この3人の登場人物は愛が欲しくて社会の掟を破ったのでした。

象徴

そして、5幕で作者は「すべての人間はメリザンドど同様に不思議で小くかわいそうな存在だ」と言い切っています。つまるところ、誰もがメリザンドと同じように哀れな魂であるということです。メリザンドがいつも不幸そうにしていたのは魂を愛して不幸な気持ちを幸福で満たしてくれる人からの愛を求めていたからです。ゴロー王子がメリザンドの表面(皮)だけ愛していたことを彼女は本能的に知っていました。恋人のいない人間がいつも不幸そうにしているのは自分だけを伴侶として心から愛してくれる存在を求めているからです。メリザンドが王冠や結婚指輪を投げたのは、人間も本来は社会的地位や結婚という束縛を求めているのではなく自由と幸福を求めているということを象徴しています。

ここに、現代フランスのもととなる理想が象徴されているように思います。ベルギー出身のメーテルリンクが世の中の雰囲気を感じ取ってそれを表現していたのか、自分の意見を主張していたのか、一発当てるために恣意的に演出したのかわかりませんが、このオペラを見た裕福層たちが感化されて時代を変えていった原動力となったのかもしれません。

教訓

原作から抽出されたテキストで勉強していたので全幕読んだわけではありませんが、このオペラは教訓を示しているのでしょうか?オペラですから道徳のお説教はないと思います。純愛を賛美しているのか、それともお説教をしているのか。このオペラを詠むと恋愛をしていない状態での結婚というものに大いに幻滅させられます。乙女の立場になってみると白髪のストーカー犯罪オジサンは嫌でしょう。ゴローとの結婚を断ったらメリザンドは飢えているアルモンド王国で餓死する可能性が高かったでしょう。生き残るために渋々ゴローの所有物となったがやはり体目当てで心は少しも安らげず気分は憂鬱。そこに好みの若者が言い寄って来ました。若者らしく意気投合し、好き同士になったものの、状況は囚人同然で最悪です。メリザンドは返事を保留し続けました。オッサンのほうも会ってすぐ妻にというのがおかしいです。尋常ではありません。色欲目当てでメリザンドを捕らえていた城の男とゴロー王子は何が違うのでしょうか。怒れるゴローも彼女に逃げられないぞ!と言ったりして同じですよね。

このオペラは女性に対する啓蒙も含まれていると思います。愛の無い結婚は魂が傷つけられていくばかりで恐ろしい!女性はホイホイとお金持ちオジサンについて行っちゃだめですよと。

それとも、単に道徳や倫理、法律、社会規範といったものに縛られない人の本能(自由意志)を表したかったのかな!?

大人になるということは自分の魂(本能)を鎖で縛りつけて殺すことと同義です。社会に出て他人と関係を持つということは剣で魂を斬られることと同じです。それらの害から自分を守るために魂が傷つけられるイメージを滅することをマインドフルネスと現代では形容することもあるようです。仏教の悟りではないと思います。大人ではないペレアスとメリザンドは本能を選び取り、束縛に抗って亡くなりました。束縛は魂の死と肉体の死で象徴され、社会規範や他者からの個人への働きかけが人の魂を殺していることを意味しているかのようです。ほとんどの人たちは半ば死んだように搾取されて奴隷の輪廻を生きているということが言いたかったのでしょうか。

結論

ペレアスとメリザンドは人生に失敗したのでしょうか?幸福だったのでしょうか?幸福を選んだために他者から魂を傷つけられて死んでしまったとも解釈できそうです。命よりも大切な愛だと思ったから。最後の瞬間だけ幸せだったのは確かです。日本の小説の失楽園を連想してしまいます。

メーテルリンクが何を言いたかったかについては他の作品を読まないことにはわかりません。補完商法も作者の意図なのかもしれません。

メリザンドの本当の正体

しかし私はこう思います。メリザンドは魂そのものです。人の魂を象徴したものです。つまり、自分を守る嘘で包まれていない魂そのものです。メリザンドは誰のことでもあるのです。誰でも他者に害されているのです。どんな幸福な人でも魂を覆っている嘘を拭うとメリザンドと同じです。痛みを感じないのは嘘で心を守っているからです。

思い出してください。幼子の時の私たちは感情が色濃くすぐに泣いていました。その状態がメリザンドなのです。母に「大丈夫だよ」と慰められることなく育った状態といえばわかりやすいです。ほとんどの人は泣くたびに「大丈夫だよ」とお母さんに刷り込まれ、それを無意識に信じて生きていきます。それが最初に自分の魂を覆っている嘘です。多くの人は母の声かけを信じるためにどんな逆境でも自分に大丈夫だよと言い聞かせて生き延びます。

「大丈夫だよ。」

この一言を信じるだけで魂は永続的に安心できるのです。

メーテルリンクはこう考えたのではないでしょうか。「2歳児あたりで母がいない状態で育った子はどんな大人になるのだろうか」と。まさにフロイトの精神分析です。発達心理学でいえば「嫌々期」を嘘や妥協で克服できずに育った状態でしょうか(そのような概念が実在すれば、ですが)。そこでゴロー王子のように「嫌なら○してしまえ」となる人も少なくないようですね。

要するに、嫌なことに直面する課題は誰にでも、成長してからでも存在します。嫌なことに直面すると「従う」「暴れる」「他者に命令する」「逃げる」「逆らう」「無視する」「断る」など心の憂いを晴らせる選択肢はそう多くありません。その最も手軽な解決策が「嘘を信じる」ことだと思います。魂が楽になりたいからいろいろな嘘を信じるのです。

魂と嘘

私たちは魂を守るために多くの嘘を信じて生きています。愛は永遠だ。結婚は幸せだ。家庭生活はつらくてお幸せだ。国はこれからもある。何々は安全だ。何々すれば安心だ。どれどれは憎むべきだ。不倫はいけない。など。作者はこれらを他者の暴力などから魂を守るための鎧と見なしていると思います。

嘘の例

世界最強の大嘘つきが、なぜ自国民から支持されるのか。それは嘘で自分を固めているから強いのです。ゴロー王子は彼女とは対比的に自分で嘘を作って信じ込んでいました。人間界で強い者は、自分にも他人にも都合のいい嘘をつけるのです。

もっと身近な嘘と言えば血液型占いや、太っちょ・痩せ、外向・内向、社交好き・引っ込み思案などがそれに当たります。愚かな学者が作った身勝手な価値づけを多くの人が信じることで多くの人の魂が傷つけられ心を病んでいます。

昔はアニメ好きというだけで悪いことをしている価値観がありました。そのため多くの人が成人とともにアニメや漫画を見ることをやめました。今は誰でもアニメが好きだと公言できます。

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観光地

フランスのコートダジュールにメーテルリンクが購入したお城があるそうです。お城といっても平城のような感じで青い海に面しています。隣にホテルが建っています。まるで雰囲気はアルモンド王国の海辺でしょうか。メーテルリンクはホテルにチャップリンなどを招いてパーティーを開いていたそうです。

フランス語のduは定冠詞なのか前置詞なのか見分ける方法がわかった!

フランス語のduは部分冠詞なのか前置詞と定冠詞なのか?

「まいにちフランス語」というNHKの語学テキストで勉強して10か月目。”duデュ“は部分冠詞なのかそれとも前置詞と定冠詞のどちらかなのかわからない。私のノートには部分冠詞といって数えられない物に対して使用すると書かれています。そして、前置詞”deドゥ“と定冠詞”le“の縮約でもあると書いてあります。”duデュ“が本文中に出て来ると一体どちらに属する品詞なのか毎回迷います。良い見分け方法は無いのでしょうか!?

duの見分け方

de temp まいにちフランス語 2022年2月号を学習中

例文中の”duデュ tempsトン“という箇所です。まいにちフランス語2022年2月号のLesson50の会話文から6文字だけテキストから引用させてもらいました。その前後の文脈からしてすばらしい時間を過ごしたということが言いたいのだと思います(教科書の翻訳では良い天気と訳されています)。辞書でtempsという単語を調べてみると「男性形の名詞で時・時間、時期、季節」という意味です。残念ながら私が使っている辞書にはお天気という意味はありません。”tempトン“が男性形ということは冠詞が不定冠詞の”unアン“あるいは定冠詞の”le“が付くはずです。では、部分冠詞では”deドゥ le tempsトン“ということになりますが、前置詞と定冠詞でも”deドゥ le tempsトン“となりますね。さて、この”tempトン“は数えられる名詞なのでしょうか?私は数えられると思います。だとすれば”du”は前置詞と定冠詞の縮約形ということになりますが、本当なのでしょうか?

辞書で調べる

再び辞書を見てみると、例文のすべてに”le tempsトン“や”deドゥ tempsトン“と書かれてありました。つまり”duデュ tempsトン“は”deドゥ le tempsトン“の縮約形ということです。勘のいい人はこれでもうわかりましたね!?私も今わかったところです。”duデュ“が部分冠詞なのか前置詞と定冠詞の縮約形なのか見分ける方法は辞書を見て調べれば良いのです!部分冠詞”duデュ“が付く単語であれば辞書に”duドュ 単語”と載っているはずです。そうでなく数えられる単語の定冠詞であれば”le 単語”という形で辞書に載っています。

これで「部分冠詞」と「前置詞と定冠詞の縮約形」の見分け方がわかりましたね!